シティズンシップ教育研究大会2022(第二次案内)
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このたび、10月2日(日)に、「研究」に力点を置いた交流と研究発展に向けた場として、「シティズンシップ教育研究大会2022」を開催する運びとなりました。
「シティズンシップ教育研究大会」は、「シティズンシップ教育」をキーワードに、多様なディシプリンの垣根を越えた知見交流を通じて、これまでの自らの研究のあり方を振り返り、今後のシティズンシップ教育研究のありようを共に考えるプラットフォームとして、2019年度から開催してまいりました。これまでの研究大会では、政治学・社会学・教育学・心理学・哲学など多様なバックグランドの研究者はもちろんのこと、実践者、大学院生、学部生などの参加もありました。
今年度も、多様な研究者、学生のみなさんを繋ぐ場となればと考えています。また、今年度も昨年度に引き続き、オンライン開催となっています。昨年同様にオンラインであることのメリットを生かし、地理的に離れた場所にある方々を繋ぐ契機になればと考えています。
また、今回のシンポジウムのテーマは、「インクルージョンとシティズンシップ」です。公正で民主的な教育をめざすさまざまな形のインクルージョン/包摂の取り組みは、多様な人々の市民的参加を促すとともに、マジョリティ性やそれに基づいた教育観を問うてきました。一方、それは多くの場合、マイノリティがマジョリティ側に包摂されるという「一方通行」に近いプロセスを伴っています。そうしたインクルージョンの側面をどう乗り越えられるか、皆さんと考えたいと思います。
この分野の研究に長く取り組まれてきた方々のみならず、大学院生や学部生の方を含む若手の方や、新たに関心を持たれた方にもぜひ積極的にお越しいただき、シティズンシップ教育研究をともに切り拓いていくプラットフォームとなれば幸いです。多くの皆さまのご参加をお待ちしております。
1.概要
■日時:2022年10月2日(日)10時〜17時15分
(任意参加のアフタートークは18時30分まで)
■会場:オンライン開催(参加者の方々にzoomミーティングルームのURLを共有します)
■対象:シティズンシップ教育研究に関心をもつ方々なら,誰でも参加できます。
若手研究者・院生・学部生の参加を歓迎いたします。
■主催:日本シティズンシップ教育フォーラム(J-CEF)
2.全体スケジュール
時間 内容
10:00~12:00 シンポジウム「インクルージョンとシティズンシップ―教育においてどう結びつけるか」
13:15~15:00 自由研究発表セッション (1)(分科会ごとでの実施)
15:30~17:15 自由研究発表セッション (2)(分科会ごとでの実施)
17:30〜18:30 アフタートーク(任意参加)
3.参加費
・高校生:無料
・学生・院生:500円(発表者:無料)
・一般:1,000円
4.研究大会への参加方法
参加者登録をした方に,シンポジウム・自由研究発表のzoomミーティングルームにアクセスするための情報 (URL,ミーティングID,パスワード)を事前にメールでお知らせいたします。参加を希望される方は2022年10月1日(土)正午までに,日本シティズンシップ教育フォーラム(J-CEF)ウェブサイト(https://jcef.jp)の案内に従って、オンラインでお申し込みください。
*申込期限を過ぎて参加を希望される方は,事務局( info@jcef.jp )にお問い合わせください。
5.大会企画
今回の研究大会では、二種類のセッションで企画を構成します。
(1)シンポジウム
参加者が一同に会し、共にシティズンシップ教育研究について考えます。
(2)自由研究発表セッション
発表者の研究成果について口頭で発表し、参加者と質疑応答やディスカッションを行います。
(1)シンポジウム
■テーマ:「インクルージョンとシティズンシップ ―教育においてどう結びつけるか」
■趣旨
社会・経済・文化的差異等による排除を乗り越え、平等で民主的な教育をめざすために、さまざまな形のインクルージョン/包摂の取り組みがおこなわれてきた。インクルージョンをめぐる種々の議論は、人権や民主主義、社会正義の理念に基づき、多様な背景を持つ人々の市民的参加を促すとともに、マジョリティ性やそれに基づいた教育観の問い直しを迫るものでもある。
しかし、それらは往々にして、マイノリティがマジョリティ側に包摂されるという「一方通行」に近いプロセスを伴っている。この点で、インクルージョンは実際にはマイノリティの同化や、それに応じない者の排除を含意していると言える。また、「ダイバーシティ&インクルージョン」や「ユニバーサルデザイン」の推奨の掛け声は、包摂的な学習環境作りへの関心の広がりを示す一方で、時に道具的なアプローチに依拠することで新自由主義と共鳴し、人権や社会正義という理念との矛盾を惹き起こす危うさと隣り合わせでもある。
マイノリティの同化や排除をもたらすようなインクルージョンの側面は、どう乗り越えられるだろうか。また、一人ひとりの多様な生のあり方に向き合う学校や地域での学びには、どのようなアプローチがありうるだろうか。本シンポジウムでは、教育において「インクルージョン」と「シティズンシップ」をどのように結びつけていくことが可能かを検討し、シティズンシップ教育の課題と可能性を引き出すことを試みたい。
■キーワード:インクルージョン/包摂、多文化共生、対話、日本語教育、ユニバーサルデザイン、新自由主義
■パネリスト(五十音順):
金和永さん(NPO法人クロスベイス)
原田大介さん(関西学院大学)
南浦涼介さん(東京学芸大学)
■コーディネーター(五十音順):
北山夕華さん(大阪大学)
橋崎頼子さん(奈良教育大学)
(2)自由研究発表セッション プログラム
自由研究発表 セッション(1)[13:15~15:00]
※1人(グループ)15~20分発表・15~20分質疑
[第1-1分科会]
司会:川中大輔さん(龍谷大学)
副司会:川口広美さん(広島大学)
(1) 社会の「内なるグローバル化」と学校での「多文化共生」に関わる教員研修の考察
―2022年度実施の教員研修プログラムを手がかりとして―
坂口真康さん(兵庫教育大学)
坂口(山田)有芸さん(元日本国際交流センター)・
山田文乃さん(立命館大学・兵庫教育大学連合大学院)
(2) 多文化国家におけるシティズンシップ教育と言語政策・実践の関係から見たエスニック・マイノリティの子どもたちのためのインクルーシブな学習機会の創出
Nyein Su Hlaingさん(岡山大学大学院)
(3) 不登校問題における包摂と排除
―「不登校経験」に関する事例調査および三部制定時制高校の意義と社会的課題に着目して―
藤田琢弥さん・藤井健人さん(埼玉県立大宮商業高等学校定時制課程)
[第1-2分科会]
司会:小玉重夫さん(東京大学)
副司会:小栗優貴さん(愛知教育大学)
(1) インクルージョンに基づくシティズンシップの理論と市民像
―M.C.ヌスバウムのコスモポリタン市民論の検討を通して―
早瀬博典さん(筑波大学)
(2) 何ものかであり何ものでもないものの可能性
―キャリア教育の批判的検討―
伊木海音さん(東京大学大学院)
(3) 中等教育における市民的責任感の育成に関する研究
―社会系教科と道徳の違いに注目して―
蒋馨瑶さん(岡山大学大学院)
[第1-3分科会]
司会:古田雄一さん(筑波大学)
副司会:両角達平さん(日本福祉大学)
(1) 市民アドボカシーを学び実践する中学生向け授業の開発
―政治的リテラシーを涵養する探究学習―
郡司日奈乃さん(千葉大学大学院)
(2) 実践的な環境シティズンシップの育成を目指した社会科授業の方法の解明
―SDGsの達成に取り組む中高等学校の実践の分析を通して―
張 亜婷さん(岡山大学大学院)
(3) 家庭でのエデュケーショナル・マルトリートメントへ声をあげる困難性に向き合うことを目指した社会科単元開発
―社会福祉支援と社会科教育の協働可能性に注目して―
髙見史織さん (広島大学大学院)
[第1-4分科会]
司会:岡田泰孝さん(お茶の水女子大学)
副司会:堀本麻由子さん(東洋大学)
(1) 全体主義的な思想をもつ生徒を社会科教師はどう受容するか
―ジョン・ロールズ『政治的リベラリズム』の挑戦―
今 陽童さん(埼玉県立大宮東高等学校)
(2) 子どもの文脈に基づく論争問題学習の実証的な研究
―中学校社会科公民的分野の単元開発を通して―
木下博斗さん(愛媛大学教職大学院)
(3) 国際社会を構造的に捉えさせる小学校社会科の授業開発研究
―第6学年国際単元における論争問題を取り上げた授業開発を事例として―
筒井 佑さん(岡山大学大学院)
[第1-5分科会]
司会:唐木清志さん(筑波大学)
副司会:井上昌善さん(愛媛大学)
(1) ゲストティーチャーの効果的な活用と家族対話を通して社会問題を自分事にする単元開発
―小学校4年生 総合的な学習の時間「SDGsの目標達成に向けて」の実践から―
茂木正浩さん(星槎大学大学院)
(2) 産学官連携による地域活性化を目指したプロジェクト型学習
―米国のチャータースクールHigh Tech Highの取り組みを参考として―
濵野優貴さん(滋賀県立彦根東高等学校)
(3) 価値調整力に焦点化したリーガルマインドの育成
―法律の専門家が主導する単元開発を事例として―
宮本あゆはさん(岡山大学大学院)
[第1-6分科会]
司会:若槻 健さん(関西大学)
副司会:林 大介さん(浦和大学)
(1) 主権者教育論にみる権利保障論と教育実践論
小林勇樹さん(長野県教育委員会事務局北信教育事務所)
(2) 人権という概念の再構成化
―中学2年道徳授業前後のアンケートに着目して―
松田万里阿さん(麗澤中学・高等学校)
(3) グローバル・シティズンシップの育成をめざした中等社会科カリキュラムの研究
―米国の教材分析を踏まえて―
劉 馨羽さん(岡山大学大学院)
[第1-7分科会]
司会:水山光春さん(京都橘大学)
副司会:藤枝 聡さん(立教大学)
(1)「地球人」として未来を創る生徒と私のエスノグラフィー
―自文化と自言語を多角的に考えながら対話力の向上を目指す授業実践―践
Yang Lihwaさん(慶應義塾大学大学院)
(2) 第11回国際学生フォーラムは民主的文化のための能力向上に寄与したか
森山 新さん(お茶の水女子大学)
(3) 日本語教材における異文化理解の方法に関する研究
―国際交流基金著『まるごと 日本のことばと文化』の分析を通して―
王 暁軻さん(岡山大学大学院)
[第1-8分科会]
司会:黒崎洋介さん(神奈川県立瀬谷西高等学校)
副司会:古野香織さん(認定NPO法人カタリバ)
(1) 教科外活動や自主的な活動における「学び」を考える
―本来感を持って生きるには―
楳原まひろさん(東京大学教育学部附属中等教育学校生徒)
(2) 校則をテーマとする日本史授業はどのように通常カリキュラムで開発・実践可能か
―単元「律令国家の形成」の場合―
奥村 尚さん(独立研究者)
山村向志さん(千葉県立姉崎高等学校)
(3) 多様な性(Queer)の留学生のライフストーリー研究
―インターセクショナリティ(交差性)の視点から―
澤田彬良さん(筑波大学大学院)
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自由研究発表 セッション(2)[15:30~17:15]
※1人(グループ)15~20分発表・15~20分質疑
[第2-1分科会]
司会:橋崎頼子さん(奈良教育大学)
副司会:小玉重夫さん(東京大学)
(1) スウェーデンにおけるシティズンシップ教育
―義務教育課程のカリキュラム分析―
松本大輝さん(大阪大学大学院)
(2) 欧州評議会におけるヨーロピアン・シティズンシップ教育の展開と課題
―EDC/HREの理念と教育方法に着目して―
氏井紅葉さん(上智大学大学院)
(3) 異文化理解能力の育成を目指したシティズンシップ教育カリキュラムの構成原理
―オーストラリアのナショナルカリキュラムの分析を通して―
永田なつきさん(岡山大学大学院)
[第2-2分科会]
司会:藤枝聡さん(立教大学)
副司会:小栗優貴さん(愛知教育大学)
(1) 公立学校における日本語指導の在り方を考える
―「特別の教育課程」による日本語指導の実施例から―
波多野澪さん(大阪大学大学院)
(2) 公立小学校に在籍する外国人児童教育に関する研究
―外国人児童の包摂と教員間の連携に着目して―
赤澤摩耶さん(筑波大学大学院)
(3) 外国にルーツをもつ子どもに対する地域教育の試み
―多文化共生の取り組みを中心に―
謝 芯怡さん(岡山大学大学院)
[第2-3分科会]
司会:斉藤仁一朗さん(東海大学)
副司会:唐木清志さん(筑波大学)
(1) 小学校教師の社会科観に関する研究
―インタビュー調査に基づいて―
福田友香さん(岡山大学大学院)
(2) マラウイ共和国の社会科教師を志望する大学生の社会科教育観
―‘Please help me’が言える社会―
吉野華恵さん(東京大学大学院)
(3) 言語政策における教師の指導観の変化に関する研究
―小学校学習指導要領改訂に注目して―
劉 夢君さん(岡山大学大学院)
[第2-4分科会]
司会:川口広美さん(広島大学)
副司会:水山光春さん(京都橘大学)
(1) ESDを通して育成される資質・能力の解明
―日本における高等学校の実践の分析を通して―
NING SIXUさん(岡山大学大学院)
(2) デジタル・シティズンシップ教育の実践
―GoogleInterLandで始めるシティズンシップ―
野口雄毅さん(南房総市立富山中学校)
(3) VUCA・持続不可能な時代とシチズンシップ
―デジタルシチズンシップ、ESDfor2030―
長岡素彦さん(一般社団法人地域連携プラットフォーム)
[第2-5分科会]
司会:林 大介さん(浦和大学)
副司会:古田雄一さん(筑波大学)
(1) こども家庭庁設置法等の成立と求められる理念の施策への流し込み
宮﨑一徳さん(参議院事務局・内閣委員会調査室長)
(2)「公共性」からみたコミュニティ・スクールの現状と課題
─ナショナル・レベルにおける政策の分析を中心にして─
柳瀬賢佑さん(明石市立望海中学校)・坂口真康さん(兵庫教育大学)
(3) ネオリベラリズムへの抵抗と順応の両立
—日本のオルタナティブ教育運動における社会的正義のレトリック—
藤根雅之さん(関東学院大学)
[第2-6分科会]
司会:北山夕華さん(大阪大学)
副司会:若槻 健さん(関西大学)
(1) 現代におけるシティズンシップの課題と限界
—『国家を歌うのは誰か?』に見るパフォーマティヴィティの政治—
小野裕太さん(東京大学大学院)
(2) 学校生活におけるXジェンダーの日常的実践から見る学校という存在
―3名のFtXの語りから―
鈴木亜湖さん(東京大学大学院)
(3) 論文発刊後に研究者はいかに省察し社会的責任を果たしているか?
―別木・玉井(2022)「生理用品の歴史」論文のSNS反響指標に注目して―
玉井慎也さん(広島大学大学院)
別木萌果さん(東京都立小川高等学校)
[第2-7分科会]
司会:井上昌善さん(愛媛大学)
副司会:堀本麻由子さん(東洋大学)
(1) 学校と保護者の新たな関係の在り方に関する一考察
-PTA組織にみる保護者の教育権-
藤澤文徳さん(上越教育大学大学院)
(2) 小学校教育における地域連携の意義と方法に関する研究
―連携を通した子どもの変容に注目して―
波多野雅俊さん(岡山大学大学院)
(3)アフタートークについて
17時30分~18時30分には任意参加のアフタートークを実施します。アフタートークでは、テーマ別に話題共有できる複数の部屋を用意します。設定する部屋の数・内容に関しては、当日ご案内いたします。
7.「シティズンシップ教育研究大会2022」実行委員(五十音順)
川口広美(広島大学大学院人間社会科学研究科准教授)
川中大輔(龍谷大学社会学部准教授)
北山夕華(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)
堀本麻由子(東洋大学文学部准教授)<大会実行委員長>
古田雄一(筑波大学人間系助教)
若槻 健(関西大学文学部教授)
8.「シティズンシップ教育研究大会2022」シンポジウム実行委員(五十音順)
北山夕華(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)<シンポジウム実行委員長>
橋崎頼子(奈良教育大学教育学部准教授)
南浦涼介(東京学芸大学教育学部准教授)
9.お問合せ先
日本シティズンシップ教育フォーラム事務局
E-mail:info■jcef.jp(担当:川中)■を@にしてお送りください。
<個人情報の取扱い>
記載の個人情報は本セミナーの実施および今後の催事実施において、日本シティズンシップ教育フォーラムが利用します。個人情報は目的の範囲内で利用するとともに適切な方法で管理し、法令上の特段の事情がない限り、本人の同意なしに第三者への目的外での開示・提供はいたしません