参加者募集

シティズンシップ教育研究大会2023(第二次案内)

2023.09.19

 日本シティズンシップ教育フォーラムでは「研究」に力点を置いた交流と研究発展に向けた場として、「シティズンシップ教育研究大会2023」を10月1日(日)に開催いたします。
 
 「シティズンシップ教育研究大会」は、「シティズンシップ教育」をキーワードに、多様なディシプリンの垣根を越えた知見交流を通じて、これまでの自らの研究のあり方を振り返り、今後のシティズンシップ教育研究のありようを共に考えるプラットフォームとして、2019年度から開催してまいりました。
 
 これまでの研究大会では、政治学・社会学・教育学・心理学・哲学など多様なバックグランドの研究者はもちろんのこと、実践者や大学院生・学部生などの参加もありました。
 今年度も、多様な研究者や実践者、院生・学生のみなさんを繋ぐ場となればと考えています。
 
 また、今年度も昨年度に引き続き、オンライン開催となっています。オンラインであることのメリットを生かし、地理的な距離の壁を越えて大会参加者が繋がる契機になればと考えています。
 
 自由研究発表の発表者の皆さまには、発表申し込みの際に、自分の研究が該当する「キーワード」を選択して頂きます。大会実行委員会としては、これらのキーワードの情報をもとに、発表者同士が研究の多様性を感じながら、同時に共通する問題意識の接点を生み出せるように、分科会を編成していく予定です。
 
 また、今回のシンポジウムのテーマは、「『葛藤』を浮かび上がらせるシティズンシップ教育」です。シティズンシップ教育の実態はその軸足をどこにおくかによって多様であり、時に葛藤を含みうるものです。一方で、葛藤自体が顕在化しない状況もありえます。今回は「葛藤」をキーワードに、シティズンシップ教育が抱えうる課題について皆さんと改めて考えたいと思っています。
 
 この分野の研究に長く取り組まれてきた方々のみならず、大学院生や学部生の方を含む若手の方や、新たに関心を持たれた方にも是非積極的にお越しいただき、今年度もシティズンシップ教育研究をともに切り拓いていくプラットフォームとなれば幸いです。
 
 多くの皆さまのご参加をお待ちしております。
 
1.概要
 ■日時:2023年10月1日(日)10時~17時30分
     (任意参加のアフタートークは18時30分まで)
 ■会場:オンライン開催(参加者の方々にzoomミーティングルームのURLを共有します)
 ■対象:シティズンシップ教育研究に関心をもつ方々なら,誰でも参加できます。
     若手研究者・院生・学部生の参加を歓迎いたします。
 ■主催:日本シティズンシップ教育フォーラム(J-CEF)
 
2.全体スケジュール
 10:00~12:00 シンポジウム「『葛藤』を浮かび上がらせるシティズンシップ教育」
 13:15~15:00 自由研究発表セッション①(分科会ごとでの実施)
 15:30~17:15 自由研究発表セッション②(分科会ごとでの実施)
 17:30~18:30 アフタートーク(任意参加)
 
3.参加費
 ・高校生:無料
 ・学生・院生:500円(発表者:無料)
 ・一般:1,000円
 
4.研究大会への参加方法
 参加者登録をした方に,シンポジウム・自由研究発表の zoom ミーティングルームにアクセスするための情報 (URL,ミーティング ID,パスワード)を事前にメールでお知らせいたします。参加を希望される方は 2023 年 9 月 27 日(水)までに以下のアドレス(https://jcefcerc2023.peatix.com/)よりお申し込みください。
 *申込期限を過ぎて参加を希望される方は,事務局にお問い合わせください
 
5.大会企画
 今回の研究大会では、二種類のセッションで企画を構成します。
 (1)シンポジウム
   参加者が一同に会し、共にシティズンシップ教育研究について考えます。
 (2)自由研究発表セッション
   発表者の研究成果について口頭で発表し、参加者と質疑応答やディスカッションを行います。

(1)シンポジウム
■テーマ:
 「『葛藤』を浮かび上がらせるシティズンシップ教育」
 
■趣旨
 今回のシンポジウムのテーマは、「『葛藤』を浮かび上がらせるシティズンシップ教育」です。
 あらゆる人々の参加を可能とする民主的なしくみやその営みは、シティズンシップ教育の土台となるものです。しかし、個人の自由や権利と、共同体への責任や貢献のどちらを優先するのか。人々の多様性の尊重と、国家の統合に向けた価値のどちらをより重視するのかなど、シティズンシップ教育の実態はその軸足をどこにおくかによって多様であり、葛藤が生じます。もし、葛藤を避けようとするのならば、それは同じ生き方や価値観を共有した同質的な集団を育てようとする同化的なシティズンシップ教育となることでしょう。実際には私たちは、様々な生き方をし、多様な価値観を持つにもかかわらず。葛藤のなかでこそ、シティズンシップ教育の多様性は保障されるのではないでしょうか。
 一方で、葛藤自体が顕在化しない状況もありえます。たとえば、外国にルーツを持つ子どもや、不就学や不登校の子どもなど、その声が必ずしも聞き届けられていない、また理性的な語りの形式では汲み取れない思いを抱える子どもや若者の存在に私たちはどれだけ意識を注いでいるでしょうか。特権的な立場にいるマジョリティがそのことに気づいていない時、または人々の声や実践が制度化、施策化される過程で抜け落ちる時、葛藤は見えなくなってしまうでしょう。
 本シンポジウムではこうした「葛藤」をキーワードに、みなさんと一緒にシティズンシップ教育について考えたいと思います。
 
■話題提供者(五十音順):
 菊地かおり(筑波大学)
 「シティズンシップ」をめぐる葛藤:イングランドの政策論議にみる論点
 渋谷 恵(明治学院大学)
 「特権」概念から考えるシティズンシップ:大学授業での気づきを中心に
 森田次朗(中京大学)
 「市民になる」とはいかなることか:フリースクールの活動からみたシティズンシップ教育をめぐる包摂と排除の葛藤
 
(2)自由研究発表セッション
 自由研究発表は各分科会にて開催します。
 (1発表につき持ち時間35分(発表時間15分~20分、質疑応答15分~20分)
 *研究大会としての性質に鑑みて、次のような発表を想定しています。
  ①研究成果を発表し、フィードバックを得る(通常の学会発表と同様)
  ②構想段階や計画段階にある研究に関して発表を行ってブラッシュアップする
  ③他の学会等で既に発表したものを再び発表し、異なる観点からのフィードバックを得る
  (卒論のプレ発表/修論のプレ発表、および学会発表未経験者の発表でもよい)
 
―自由研究発表プログラム―(発表要旨はこちらをご覧ください)
【セッション1 / 13:15-15:00】
[第 1-1 分科会]
 司会:斉藤仁一朗さん(東海大学)
 副司会:小玉重夫さん(東京大学)
(1)授業中の教師による雑談の可能性 ―教師と生徒の支え合いによって生まれるエージェンシー―
 遠藤梢子さん(東京学芸大学附属高等学校生徒)
(2)シティズンシップ教育を研究する研究室文化の形成と批判的継承 ―北海道教育大学釧路校・社会科教育学ゼミの正統的周辺参加を事例に―
 玉井慎也さん(北海道教育大学)・佐々島忠佳(北海道教育大学釧路校学生)
(3)ジャック・ランシエールにおける〈教えること〉の再考―『無知な教師』から『解放された観客』
へー
 赤嶺洋道さん(東京大学大学院)
 
[第 1-2 分科会]
 司会:古野香織さん(認定 NPO 法人カタリバ)
 副司会:長沼 豊さん(大日向中学校)
(1)教育の場における心理的安全性―エージェンシーを発揮することができる環境のためにー
 七島海希さん(学校法人角川ドワンゴ学園 S 高等学校生徒)
(2)市民性教育を妨げる要因についての一考察―「世間論」を軸にしてー
 辻 幸二郎さん(兵庫教育大学大学院)
(3)校則改正プロセスにおける子ども参加の展開と課題―市民性形成の視点から―
 小林勇樹さん(長野県教育委員会事務局北信教育事務所)
 
[第 1-3 分科会]
 司会:川口広美さん(広島大学)
 副司会:福井 駿さん(鹿児島大学)
(1)「合意形成」や同一化を目的とした政治教育の批判的検討 ―ジャック・ランシエールの「政治」と
「政治主体」概念を手掛かりに―
 小林遼也さん(東京大学大学院)
(2)「ふつう」という概念に関する哲学対話を通した市民性教育プログラム開発―リップマンの「子ど
ものための哲学」を手がかりにして―
 松原 心さん(岡山大学大学院)
(3)日中間の対話型シティズンシップ教育を考える―普遍主義・相対主義を超えてー
 森山 新さん (お茶の水女子大学)
 
[第 1-4 分科会]
 司会:両角達平さん(日本福祉大学)
 副司会:川中大輔さん(龍谷大学)
(1)困窮学生が学業を継続するために必要な支援―静岡県立大学学生助けたんじゃーの活動から見えて
きたこと―
 鋤柄美奈さん(静岡県立大学学生助けたいんじゃー)
(2)ユニバーサル・アプローチを展開するユースセンターの有用性―中高校生の変容に焦点をあてて―
 光岡歩美さん(岡山大学大学院)
(3)「子どもアドボカシー」の必要性―独立アドボケイトの経験に着目してー
 河南真衣さん(大阪大学大学院)
 
[第 1-5 分科会]
 司会:井上昌善さん(愛媛大学)
 副司会:福田喜彦さん(兵庫教育大学)
(1)主権国家の枠組みから国際社会を捉えさせる小学校社会科単元開発研究―海洋ごみ問題に対するシ
ミュレーション活動を通してー
 筒井 佑さん(岡山大学大学院)
(2)持続可能な水産業の実現を目指す小学校社会科学習―第 5 学年の単元開発を通して―
 柚山由紀野さん(愛媛大学学生)
(3)音楽を通して市民性教育における自主的思想形成に関する研究―音楽を取り上げた単元開発の可能 
性の検討を取り上げて―
 角南葵乃助さん(岡山大学大学院)
 
[第 1-6 分科会]
 司会:橋崎頼子さん(奈良教育大学)
 副司会:水山光春さん(京都橘大学)
(1)オーストラリアの多文化共生を目指した教育の実態と特質
 永田なつきさん(岡山大学大学院)
(2)公民科における「差別」と「平等」を取り上げた授業の開発―平等権をテーマとした多文化教育プ
ログラムの開発を通して―
 清川美空さん(岡山大学大学院)
(3)外国人散在地域における多文化教育―地域性に着目する意義の考察―
 新田康平さん(大阪大学大学院)
 
[第 1-7 分科会]
 司会:唐木清志さん(筑波大学)
 副司会:古田雄一さん(筑波大学)
(1)Z 世代の政治関心を高めるには―同世代の私が提案する新たな政治教育―
 坂田 椛さん(東京大学教育学部附属中等教育学校生徒)
(2)グローバル・シティズンシップの育成をめざしたサービスラーニング・カリキュラムの研究―大学
の例を通して―
 劉 馨羽さん(岡山大学大学院)
(3)アメリカ・マサチューセッツ州における市民性教育改革と市民性育成の戦略―進学とキャリアの準
備状態へのシヴィック・レディネス追加に着目して―
 松原信喜さん(広島大学大学院)
 
【セッション2 / 15:30-17:15】
[第 2-1 分科会]
 司会:陳 思聡さん(九州大学)
 副司会:若槻 健さん(関西大学)
(1)学校での集団葛藤におけるベトナム移民の児童生徒とそれに影響を与える要因―日本公立学校にお
けるベトナム人第 1.5 世代の児童生徒の学校参加に関する 研究を通して―
 Dao Ngoc My Linh さん(大阪大学大学院)
(2)中学校夜間学級における外国にルーツをもつ生徒に向けた社会科教育の実践―公民的資質をどう育
てるか?―
 宗形香名さん(墨田区立文花中学校)
(3)社会的責任感の育成を目指したシティズンシップ教育プログラムの開発―「ウクライナ避難民の受
け入れ」を題材としてー
 蒋 馨瑶さん(岡山大学大学院)
 
[第 2-2 分科会]
 司会:両角達平さん(日本福祉大学)
 副司会:市川享子さん(東海大学)
(1)地方における若者活躍社会の構築―日本の若者会議の分析と下関若者会議の提案―
 四ヶ所壮汰さん(株式会社山口フィナンシャルグループ)
(2)地域を変える主権者教育―岡山県立新見高等学校の陳情活動を一例にー
 岩淵 泰さん(岡山大学地域総合研究センター)
(3)こども基本法による、児童の権利に関する条約の位置づけの上書きの必要性
 宮﨑一徳さん(法政大学現代法研究所)
 
[第 2-3 分科会]
 司会:井上昌善さん(愛媛大学)
 副司会:星 瑞希さん(北海道教育大学)
(1)シティズンシップ教育から考える開かれた古代地中海世界史研究―高大連携と市民協働型の歴史実
践に注目して―
 丸小野壮太さん(常磐大学高等学校)・佐藤育子さん(日本女子大学)
(2)中学生に「憲法」をどう教えるか―歴史と公民の接続を意識して―
 阿部哲也さん(江東区立深川第五中学校)
(3)歴史正義の実現をめざす歴史単元構成原理―TC2 による“What Can I Contribute to Meaningful
Reconciliation?”の場合―
 村上遥大さん(広島大学大学院)
 
[第 2-4 分科会]
 司会:桑原敏典さん(岡山大学)
 副司会:川口広美さん(広島大学)
(1)学校教育における「多文化共生」に関わる教員研修の評価―2023 年度実施の教員研修プログラムを事例として―
 坂口(山田)有芸さん(摂南大学)・坂口真康(兵庫教育大学)
 山田文乃(立命館大学・兵庫教育 大学連合大学院)
(2)日中の大学生の世界市民資質に関する研究
 富 舒欣さん(九州大学大学院)
(3)非母語話者日本語教師の指導観に関する調査研究―グローバル市民育成を中心に―
 李 依水さん(岡山大学大学院)
 
[第 2-5 分科会]
 司会:斉藤仁一朗さん(東海大学)
 副司会:古田雄一さん(筑波大学)
(1)戦後初期文部省の生徒会論における「公民」観の特質―米国の E.K.フレッツェルにおける生徒会論
との対比から―
 相庭貴行さん(筑波大学大学院)
(2)戦前公民科における「社会教育」の取扱いとその変容
 釜本健司さん(新潟大学)
(3)全国生活指導研究協議会における「子どもの声」を聴く実践の展開とその特徴―2014 年 第 56 回大
会以降に焦点を当てて―
 鈴木草営駒さん(名古屋大学大学院)
 
[第 2-6 分科会]
 司会:今度珠美さん(メディア教育研究室)
 副司会:川中大輔さん(龍谷大学)
(1)アメリカの社会・文化的状況に即した DC 教育の理論と実践の解明―ISTE が提案する DC の9要素
からみた教材分析―
 瀬川正義さん(北海道教育大学)
(2) ICT ツールの活用による議論の深まりとシティズンシップ向上に関する研究
 冨永 静さん(東北大学大学院)
(3)AI・Singularity・web3.0 とシチズンシップ―AI 化による新しい「訓練された無能」とシチズンシッ
プ教育―
 長岡素彦さん(一般社団法人地域連携プラットフォーム)
 
[第 2-7 分科会]
 司会:北山夕華さん(大阪大学)
 副司会:池谷美衣子さん(東海大学)
(1)中国における女子大学院生割合上昇の背景にあるジェンダーとシティズンシップ課題
 呉 可菲さん(九州大学大学院)
(2) からだ・性に関するインフォーマル学習の研究―ミニコミ誌『女から女たちへ』に着目してー
 川上優貴さん(東洋大学大学院)

(3)アフタートークについて
 17 時 30 分~18 時 30 分には任意参加のアフタートークを実施します。アフタートークでは、テ
ーマ別に話題共有できる複数の部屋を用意します。設定する部屋の数・内容に関しては、当日ご案内
いたします。
 
6.「シティズンシップ教育研究大会2023」実行委員(五十音順)
 井上昌善(愛媛大学教育学部准教授)<大会実行委員長>
 川口広美(広島大学大学院人間社会科学研究科准教授)
 川中大輔(龍谷大学社会学部准教授)
 北山夕華(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)
 斉藤仁一朗(東海大学ティーチングクオリフィケーションセンター講師)
 陳 思聡(九州大学人間環境学研究院准教授)
 橋崎頼子(奈良教育大学教育学部教授)
 古田雄一(筑波大学人間系助教)
 両角達平(日本福祉大学社会福祉学部専任講師)
 若槻健(関西大学文学部教授)
 
7.「シティズンシップ教育研究大会2022」シンポジウム実行委員(五十音順)
 北山夕華(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)<シンポジウム実行委員長>
 橋崎頼子(奈良教育大学教育学部教授)
 陳 思聡(九州大学人間環境研究院准教授)
 若槻健(関西大学文学部教授)
 
8.お問合せ先
 日本シティズンシップ教育フォーラム事務局(担当:川中)

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