シティズンシップ教育研究大会2024(二次案内)
日本シティズンシップ教育フォーラムでは「研究」に力点を置いた交流と研究発展に向けた場として、「シティズンシップ教育研究大会2024」を10月5日(土)に開催いたします。「シティズンシップ教育研究大会」は、「シティズンシップ教育」をキーワードに、多様なディシプリンの垣根を越えた知見交流を通じて、これまでの自らの研究のあり方を振り返り、今後のシティズンシップ教育研究のありようを共に考えるプラットフォームとして、2019年度から開催してまいりました。これまでの研究大会では、政治学・社会学・教育学・心理学・哲学など多様なバックグランドの研究者はもちろんのこと、実践者、大学院生、学部生などの参加もありました。
今年度も、多様な研究者、学生のみなさんを繋ぐ場となればと考えています。また、今年度も昨年度に引き続き、オンライン開催となっています。昨年同様にオンラインであることのメリットを生かし、地理的に離れた場所にある方々を繋ぐ契機になればと考えています。自由研究発表の発表者の皆さまには、発表申し込みの際に、自分の研究が該当する「アプローチ」と「キーワード」を選択して頂きます。大会実行委員会としては、これらのアプローチ・キーワードの情報をもとに、発表者同士が研究の多様性を感じながら、同時に共通する問題意識の接点を生み出せるように、分科会を編成していく予定です。
また、今回のシンポジウムのテーマは、「共生に作法は必要か」としました。社会参加にはシティズンシップの「作法」を身につけていることがしばしば求められます。しかし、作法を身につけていないとみなされる人も社会参加が保障される「仕組み」も大切ではないでしょうか。今回は、社会参加に関わる「作法」と「仕組み」に焦点を当て共生社会のあり方について考えていきたいと思います。
この分野の研究に長く取り組まれてきた方々のみならず、大学院生や学部生の方を含む若手の方や、新たに関心を持たれた方、さらに他分野へのつながりをつくりだしたい方にもぜひ積極的にお越しいただき、今年度もシティズンシップ教育研究をともに切り拓いていくプラットフォームとなれば幸いです。多くの皆さまのご参加をお待ちしております。
1.概要
■日時:2024年10月5日(土)10時〜17時30分(任意参加のアフタートークは18時30分まで)
■会場:オンライン開催
■対象:シティズンシップ教育研究に関心のある方々
*若手(アーリーキャリア)研究者・院生・学部生の参加を歓迎いたします。
■主催:日本シティズンシップ教育フォーラム(J-CEF)
2.全体スケジュール
10:00~12:00 シンポジウム「 共生に作法は必要か」
13:15~15:00 自由研究発表セッション(1)(分科会ごとでの実施)
15:30~17:15 自由研究発表セッション(2)(分科会ごとでの実施)
17:30〜18:30 アフタートーク(任意参加)
3.参加費
・高校生:無料
・学生・院生:500円(発表者:無料)
・一般:1,000円
4.研究大会への参加方法
参加者登録をした方に,シンポジウム・自由研究発表の zoom ミーティングルームにアクセスするための情報 を事前にメールでお知らせいたします。参加を希望される方は以下のアドレス(https://jcefcerc2024.peatix.com)よりお申し込みください。
- 大会企画
今回の研究大会では、二種類のセッションで企画を構成します。
(1)シンポジウム
参加者が一同に会し、共にシティズンシップ教育研究について考えます。
(2)自由研究発表セッション
発表者の研究成果について口頭で発表し、参加者と質疑応答やディスカッションを行います。
(1)シンポジウム
■テーマ: 共生に作法は必要か?
■趣旨:
本シンポジウムでは、共生社会の一員として、社会参加したり意見を述べたりするのには、なんらかの知識・能力・性向が必要なのかを考えていきたいと思います。シティズンシップを資質・能力と捉えると、資質・能力が「低い」と見なされる人は、発言を尊重されなかったり、そもそも発言を認められなかったり、する気が起きなかったりします。結果、社会参加の「作法」を身につけた高学歴、年長、男性といった属性の人の声が優先された議論になったり、「やんちゃ」な若者が地域社会の活動から排除されたりすることが起こりえます。
しかし、シティズンシップは「権利」でもあり、「作法」を身につけているかどうかにかかわらず、多様な人が社会参加したり、意見を述べたりする(聴かれる)ことができる環境を整える「仕組み」が求められます。共生の「作法」と「仕組み」はどのような関係にある(べきな)のでしょうか。現状を実証的に捉えることで、当たり前と思われている作法の前提(規範)を浮かび上がらせ、社会参画のあり方を問い直していきたいと思います。
■登壇者
村松 灯さん(帝京大学)
知念 渉さん(大阪大学)
江口 怜さん(摂南大学)
■コメンテーター
川口広美さん(広島大学)
■コーディネーター
若槻 健さん(関西大学)
(2)自由研究発表セッション
自由研究発表は分科会(1発表につき持ち時間35分(発表時間15分~20分、質疑応答15分~20分)の開催を予定しています。
*研究大会としての性質に鑑みて、次のような発表を想定しています。
(1) 研究成果を発表し、フィードバックを得る(通常の学会発表と同様)
(2) 構想段階や計画段階にある研究を発表し、研究を進めるためのフィードバックを得る
(3) 他の学会等で既に発表したものを再び発表し、異なる視点からのフィードバックを得る
(卒論のプレ発表/修論のプレ発表、および学会未経験者の発表でもよい)
ー自由研究発表プログラムー(発表要旨はこちらをご覧ください)
【セッション1/13:15-15:00】
[第 1-1 分科会]
司会:星 瑞希さん(北海道教育大学)
副司会:高松尚平さん(太宰府市立太宰府西中学校)
(1) いかにして歴史学習によって高校生が「遠い」他者への関心を生むかー歴史総合「グローバル化と私たち」授業実践の模索ー
寺前 綾さん(和歌山県立文書館)
(2) カナダにおける社会科歴史的学習ワークシートの構成とデザインの分析ー「批判的思考」と「歴史的な見方・考え方」を働かせる教材開発のためにー
佐々島忠佳さん(北海道教育大学釧路校・学生)
(3) 高等学校地歴公民科における平和教育の構想ージュディス・バトラーの「主権」概念批判を手がかりに
山下真彌さん(東京大学大学院教育学研究科)
[第 1-2 分科会]
司会:井上昌善さん(愛媛大学)
副司会:水山光春さん(京都教育大学名誉教授)
(1) 岡山県における高等学校の食農教育活動ー台湾108課程綱要における援用の可能性ー
Chen Wen-Hsinさん(岡山大学大学院)
(2) 地球温暖化に対し私達ができることは?
大房信幸さん(長野県飯田高等学校)
(3) 中学歴史科授業において「証言」をどのように扱えばよいか?ー「慰安婦」問題を題材とした授業開発ー
江西夢叶さん(北海道教育大学札幌校・学生)
[第 1-3 分科会]
司会:斉藤仁一朗さん(東海大学)
副司会:中村仁志さん(岡崎女子大学)
(1) 就学前施設における多文化保育のありかたー外国にルーツのある子どもを中心とした保育と保育者の保育観ー
朴貴禮さん(大阪大学大学院)
(2) 絵本を用いた多文化共生保育の方法ーニュージーランドの教材を手がかりにしてー
景山愛梨さん(岡山大学大学院)
(3) シティズンシップ教育のための総合的な学習の時間の意義
吉城寺涼さん(広島文教大学・学生)
[第 1-4 分科会]
司会:久保美奈さん(千葉経済大学)
副司会:西山渓さん(開智国際大学)
(1) 哲学対話の手法を活かした生徒の本来感を高める授業の開発
山﨑達也さん(千葉大学大学院)
(2) 和人対アイヌの二項対立を乗り越えるための授業
吉川勇気さん(北海道教育大学札幌校・学生)
(3) シティズンシップ教育における絵本活用の可能性に関する研究
JIN CHENさん(岡山大学大学院)
[第 1-5 分科会]
司会:川中大輔さん(龍谷大学)
副司会:林 大介さん(浦和大学)
(1) 子ども・若者にとっての学校と家庭以外の市民性育成の場の必要性
光岡歩美さん(岡山大学大学院)
(2) 高校生の探究学習を支えるユースワーカーについての研究
宮内裕大さん(大阪大学大学院)
(3) 生活指導と融合した教科指導のあり方に関する研究
橋本幸弥さん(岡山大学大学院)
[第 1-6 分科会]
司会:橋崎頼子さん(奈良教育大学)
副司会:市川享子さん(東海大学)
(1) 日韓・東アジアがともに生きるための「民主的文化のための能力」ー日韓合同遠隔授業の実践から
森山 新さん(お茶の水女子大学)
(2) 青年国際交流事業の参加者の変容と地域社会への影響に関する調査研究
長木 愛さん(川崎医療福祉大学)
(3) 中国における双語教育と民族的アイデンティティの形成ー少数民族(ナシ族)の社会的・文化的背景に注目してー
木 八慧さん(岡山大学大学院予備コース)
[第 1-7 分科会]
司会:古田雄一さん (FURUTA, Yuichi)(筑波大学)
副司会:北山夕華さん (KITAYAMA, Yuka)(大阪大学)
(1) Exploring the Motivations and Influential Backgrounds of Teachers Engaged in Global Citizenship Education
LUO GUYUEさん(Graduate School of Okayama University)
(2) From the migrant children’s manners to the school engagement: in the context of tokubetsu katsudō participation
Dao Ngoc My Linhさん (Graduate School of Osaka University)
(3)学校教育の「共生」に関わる学習を考える―「日本の家庭科教科書における外国につながる人々やその暮らしの描写のされ方に関する考察」をもとにして―
坂口真康(大阪大学)・坂口(山田)有芸(摂南大学)・山田文乃(立命館大学・兵庫教育大学連合大学院)
【セッション2/15:30-17:15】
[第 2-1 分科会]
司会:市川享子さん(東海大学)
副司会:林 大介さん(浦和大学)
(1) 「こども選挙」の展開の分析
宮﨑一徳さん(みんなの政策研究所)
(2) 初等教育段階の市民性教育としての法教育の特質と課題
宮本あゆはさん(岡山大学大学院)
(3) スウェーデンの学校教育における模擬選挙を活用した実践の一考察ー参加を通してシティズンシップを学習する視点からー
葉上千紘さん(大阪大学大学院)
[第 2-2 分科会]
司会:若槻 健さん(関西大学)
副司会:星 瑞希さん(北海道教育大学)
(1) 政治的無力感の強い生徒に社会運動をどう教えるかー高等学校公民科における社会正義志向の社会科の授業開発研究ー
清川美空さん(岡山大学大学院)・別木萌果(東京都立小川高等学校)
(2) どのように社会科でインターセクショナリティを教えるべきかーJustice By Design『交差する世界観の構築』を手がかりにー
和田尚士さん(広島大学大学院)
(3) 通信制高校におけるシティズンシップ教育ービースタの「主体化」概念に注目してー
中野孝太さん(京都芸術大学附属高校)
[第 2-3 分科会]
司会:斉藤仁一朗さん(東海大学)
副司会:黒崎洋介さん(神奈川県立横浜瀬谷高等学校)
(1) 問いの構造図による科学的探究学習ー中学校社会歴史的分野での授業実践報告
奥田幸昌さん(近畿大学附属広島高等学校中学校福山校)
(2) 人文学の視座・方法論から考えるシティズンシップ教育ー歴史学と哲学・宗教学との対話を手がかりにしてー
丸小野壮太さん(常磐大学高等学校)・土井裕人さん(筑波大学)
(3) 小学生は武士をどのようにイメージしているのか
今 祐貴さん(北海道教育大学札幌校・学生)
[第 2-4 分科会]
司会:北山夕華さん(大阪大学)
副司会:西山 渓さん(開智国際大学)
(1) 外国につながる教員・支援者の実践上の役割認識と課題ー外国につながる児童生徒に対する実践に着目してー
坂口(山田)有芸さん(摂南大学)
(2) 伝統文化教育を通した市民性育成に関する研究ー日中の教科外活動の取組の比較を通してー
杜 嘉熠さん(岡山大学大学院)
(3) 市⺠性育成と日本語教育の関係に関する調査研究ー非母語話者日本語教師の日本語教育観に焦点を当ててー
LI YISHUIさん(岡山大学大学院)
[第 2-5 分科会]
司会:川口広美さん(広島大学)
副司会:水山光春さん(京都教育大学名誉教授)
(1) 共生社会の実現を目指す主権者教育に関する研究ー内容編成の検討を通してー
柚山由紀野さん・元山壮馬さん・小倉 澪さん(愛媛大学教職大学院)
(2) 「異なるものを知ろうとする市民性」を養成する教師教育の可能性ー教育社会学の立場から見た学習指導要領の理念実現の限界性を踏まえてー
藤本莉央さん(北海道教育大学釧路校・学生)
(3) 社会科教育学草創期における社会科教育課程研究の展開とその特質ー内海巖の学習指導要領研究を事例としてー
釜本健司さん(新潟大学)
[第 2-6 分科会]
司会:橋崎頼子さん(奈良教育大学)
副司会:村松灯さん(帝京大学)
(1) 戦場での性暴力に関わる困難な歴史をどのように教えるかー「連累」の概念を活用してー
池田未知華さん(北海道教育大学札幌校・学生)
(2) 性的マイノリティに関する教材研究における葛藤の探究ーある高等学校公民科教師によるセルフスタディー
神田颯さん(広島大学大学院人間社会科学研究科教育ヴィジョン研究センター)・奥村 尚さん(独立研究者)・村田一朗さん(大垣市立北中学校)・小野創太さん(宮崎産業経営大学)
(3) 児童生徒の社会的課題に対する意見表明力の育成ー「生理の貧困」をテーマにした授業実践と効果検証ー
髙橋里奈さん(千葉大学大学院・千葉市立真砂中学かがやき分校教員)
[第 2-7分科会]
司会:古田雄一さん(筑波大学)
副司会:久保美奈さん(千葉経済大学)
(1) 生徒自治における生徒の多元的な参加への注目ー校則自由化を行った中学校での質問紙調査よりー
薮本佳奈さん(大阪大学大学院)
(2) エンパワーメント・ギャップ克服を目指した生徒会活動の実践ー学校目標作り・ルールメイキング・制服改定署名活動などを通してー
玉木健悟さん(奈良教育大学教職大学院)
(3) 1960年代後半の愛知県立旭丘高等学校における高校生の政治活動ー教師による指導過程に着目してー
鈴木草営駒さん(名古屋大学大学院)
[第 2-8 分科会]
司会:井上昌善さん(愛媛大学)
副司会:川中大輔さん(龍谷大学)
(1)平和構築教育のリーダーとしての教師の資質に関する研究−ミャンマーの新任教師の意見に関する調査研究−
Wint Zaw Htet(岡山大学大学院)
(2) 世界標準となりつつあるDC教育と日本の社会科教育との調和ー教育実習の研究授業デザイン経験から示唆される可能性と限界性ー
瀬川正義さん(北海道教育大学釧路校)
(3) 共に生きることを学ぶ(Learning to live together)とシチズンシップ教育
長岡素彦さん(一般社団法人 地域連携プラットフォーム)
6.「シティズンシップ教育研究大会2024」実行委員(五十音順)
市川享子(東海大学健康学部准教授)
井上昌善(愛媛大学教育学部准教授)
川口広美(広島大学大学院人間社会科学研究科准教授)
川中大輔(龍谷大学社会学部准教授)
北山夕華(大阪大学大学院人間科学研究科教授) <大会実行委員長>
久保美奈(千葉経済大学経済学部専任講師)
斉藤仁一朗(東海大学資格教育センター講師)
長沼 豊(日本教育実践研究所所長)
橋崎頼子(奈良教育大学教育学部教授)
古田雄一(筑波大学人間系助教)
星 瑞希(北海道教育大学教育学部講師)
若槻 健(関西大学文学部教授)
7.「シティズンシップ教育研究大会2024」シンポジウム企画委員(五十音順)
川口広美(広島大学大学院人間社会科学研究科准教授)
知念 渉(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)
村松 灯(帝京大学リベラルアーツセンター講師)
若槻 健(関西大学文学部教授) <シンポジウム企画委員長>
8.お問合せ先
日本シティズンシップ教育フォーラム事務局
E-mail:info■jcef.jp(担当:川中)(■を@に置き換えてください)